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たまうさぎ

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8月6日

平和記念公園というのは街の中心に近いところにあって、地元に住んでいればいつでも行けます。
式典のあった今日、特に行くつもりはなかったけど、
電車の待ち時間が出来たので少し入り口付近をうろうろしてみました。





いろんな県の原水協の人たち、宗教団体、各国の学生さんたちなどで賑やか。
植えられた木々から蝉の声が豪雨のようにシャワシャワ降り注ぐ。
楽しいとか嬉しいという以外の、こういう時の蝉は何ともいえない効果音です。

原爆ドームの姿は有名で、私も何度となく写真を見ていましたが
痛々しい空っぽのドームの骨組みよりも
下に落ちている当時のままの瓦礫の方が心に刺さる。
これは現地にいかないとあまりわからない感覚。

引越してきたばかりの2年前、ちびの行楽のためにこの公園に来て、
川を見ていると胸中になんの考えもなかったにも関わらず、
勝手に涙がにじんで30分ばかりずっと目尻を指でなぞっていなければいけませんでした。
川面にびっしりと浮かんでいたという火傷を負った死骸を想像したのは
なんか涙が出てくるなあ・・・と思った後からです。
確かに何かいる。この場所には磁場のようなものがある。

広島ではこのシーズンにならなくても、それこそしょっちゅう原爆に関するイベント、報道、
普通の書店の絵本売り場にも特設コーナー、保育園での教育もあり、
いつも何かしら原爆のことを意識させられます。
それは関西にいた頃だけでなく隣県の岡山に住んでいた時にも全く感じなかったことで、
当事者とそうでないものの差というものを痛感します。
「唯一の被爆国 日本」とはいいますが・・・。
爆心地以外の地域では、その痛みはかなり鈍感なのだということが解りました。

広島では語り部のおじいさんおばあさんが保育園にやってきて、
2歳児にも戦争の悲惨さを話して聞かせます。
原爆がどんな光量を持っていたか、どんな熱を持っていたか、
どれだけ人が死んだか、どのように死んだか、生き残った人がどんな人生を歩んだか
繰り返し繰り返し聞いて大きくなる。
広島や長崎に生まれたり、育ったりすることはただそれだけで重大な意味を持ちます。

日本は焦土となった経験を持つ国ですが、
こういう濃度を持って現在にいたるのは沖縄を除くと被爆地だけではないか。

私は常々、核兵器でも他の兵器でも人がたくさん死ぬのは一緒だと思っていましたが、
そういえば空襲のあったはずの大阪で、戦争のことを意識するのは7月半ばを過ぎてから。
9月になると忘れる。
東京に住んだことはないけど、たぶん同じようなものではないだろうか。
広島ではいつも生活の中に原爆が間近にあります。
核というのはやはり特別な呪いの力があるようです。


8月6日_f0037214_1532859.jpg

by kokiti01 | 2008-08-07 00:20 | その他